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大阪高等裁判所 昭和36年(く)60号 決定 1961年11月11日

少年 F(昭二二・四・二五生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告理由の要旨は、少年は当年十四才という未だ思慮分別の至らない年頃であつて、本件は中学同窓の上級生及び群衆にそそのかされて犯したもので、それ程重大に考えるべき事案ではないし、抗告人は少年の将来を心配し二度とこのようなことがないよう充分注意するつもりであり、又親戚の○本○一氏が少年の保護に熱意を持つてあたつてくれる予定であるから、同氏に少年を預け保護監督にあたらせるのが適当で、いきなり少年院に送致することが最上の策だとは考えられないから少年を初等少年院に送致する決定の取消を求めるというのである。

よつて本件保護処分記録及び調査記録を検討すると、本件非行の性質、態様、少年の生立、経歴、少年の反社会的性格、非行性が相当根強いものがあり将来なお発展の虞も考えられるので、今後厳格な規律の下に強力な矯正教育を施すことが必要であると考えられること、抗告人の少年に対する愛情には並々ならぬものがあるけれども、少年の家庭は複雑で到底充分な保護を期待出来ないこと、その他諸般の事情を考慮すれば、原決定は止むを得ないものと考えられるから本件抗告は理由がない。

よつて、少年法第三三条第一項を適用して主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小田春雄 裁判官 石原武夫 裁判官 原田修)

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